いっしょに描く未来図 ミライズム ∞ トーク
Miraism Talk
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〜「出島メッセ長崎」〜
使い方は無限大!
賑わうまちを目指して!
この方にお話をうかがいました!
矢竹太輔さん
マルクスインターナショナル所属。音楽イベントから行政に関わる催し等、長崎で約20年間イベントの運営に従事している。
小林奈々さん
長崎孔子廟副館長。中国歴代博物館の情報発信を行う一方で、長崎孔子廟の歴史的資産の保存から活用への展開にも力を注いでいる。
出口裕太さん
長崎市職員。MICE誘致や地域活性化の仕組みづくりに携わっている。
出島メッセ長崎の完成で、これまで長崎ではできなかったイベントも開催可能に
出口
11月1日に、出島メッセ長崎が開業します。
矢竹
待ち遠しかったですね。私たちのようにイベントを手がけている立場からすると、本当に「いよいよ」という印象ですよ。
出口
長崎市の人口は、現在約41万人ですが、2045年には約31万人になるという予測も出ています。人口減少が進む中で、観光客だけでなくビジネスやスポーツ、文化など様々な目的で国内外から多くの人を呼び込むことで、まちを活性化させようとしているんです。
矢竹
長崎は観光都市としては全国的にも認知度が高いと思いますが、それ以外の分野でも多くの人を呼び込もうということですね。その受け皿の拠点になるのが出島メッセ長崎だと。
出口
出島メッセ長崎は、約2,700㎡のコンベンションホール、約3,800㎡のイベント・展示ホール、20~600㎡までの会議室を24室備えた施設です。平土間のホールは多様なレイアウトが可能なので、大規模なイベントから小規模な会議まであらゆる催事に対応できます。
矢竹
そんな出島メッセ長崎の収容力はイベント事業者としては魅力的ですね。実はこれまで、大きなイベントを開催する際、一つの会場に収まりきれず、いくつかの会場に分散して開催することもあったんですけど、その時にはシャトルバスの準備も必要で、主催者や参加者にも負担をかけることになっていましたから。
大型イベント会場といえば県立総合体育館もありますが、あくまでも体育館なので、重いものを搬入した時は床が反り返りそうになったこともありました。安全面が最優先ですから、設営にはかなり気を使いましたね。今後は余計なことに気を使わなくて済む分、イベント自体に力が注げて、イベントの質も高まるのではないでしょうか。
私たちも、出島メッセ長崎を使って、どんな質の高いイベントが開催できるようになるだろうとあれこれ想像しているところです。
出口
国際的な学会や大会はもちろん、食のイベントや子ども・ファミリー向けのイベント、音楽ライブ、通信環境の強みを活かしたeスポーツの大会など色んなイベントが開催できますよ。
矢竹
個人的には音楽系のライブイベントを充実させたいですね。著名人を呼ぶことで県外の人も長崎に来るでしょうし、市民のみなさんも楽しむ機会が増えると思います。
小林
美術祭などのイベントもあれば、行ってみたいです。長崎ではあまり美術祭が行われていない印象があるんですが、アートやカルチャーを通して市民の知的好奇心をくすぐるイベントがあれば、心も豊かになりそうですね。
出口
専門性の高い学会などは自分には関係ないと思う方もいるかもしれませんが、例えば、学会に参加するその道の第一人者に、市民公開講座を開催してもらうことで、市民のみなさんが気軽に参加し、新たな知識を得ることだってできると思います。
小林
長崎にいながら、世界の最先端の技術や情報に触れられるなんていいですね。
出口
しかも、出島メッセ長崎は、長崎大学などの実験で新型コロナウイルスに効果があるとされたプラズマクラスター技術をエレベーターに導入したり、抗ウイルス仕様の壁紙を使うなど、最新の技術を導入して感染症に強い施設を目指しているので、誰もが安心して来ていただけることも魅力です。
最近は、オンライン会議なども増えていますが、これに対しても大容量の光回線も引き込み、安定的な通信環境を整えますので、会議を開催しながらオンライン配信もするなどハイブリッドな使い方も手軽にできるんですよ。
交流を広げ、長崎市全体の活性化を目指す
矢竹
出島メッセ長崎で、色んなイベントが開催できるようになるのはわかるんですが、それがまちの活性化にどうつながるんでしょうか?
出口
MICEで人を呼ぶだけではなく、そこから1日でも長く長崎に滞在してもらって、長崎ならではの食や体験を楽しんでもらい消費拡大につなげようとしています。この取組みを「まちMICEプロジェクト」と名付け、出島メッセ長崎の開業に向けて進めているんですよ。
矢竹
確かに、長崎には見所も多いので、いろんなところに周遊してもらえると賑わいが広がりますね。
出口
はい。周遊の点でも、出島メッセ長崎の強みは大いに活かせると思います。出島メッセ長崎は長崎駅に直結し、全国有数の利便性の高い施設なんです。陸の玄関口に位置しますので、ここから長崎のいたるところに足を伸ばしてもらいやすくなると思います。
小林
出張で来られたかたも、夜飲みに行くだけではなくて、気軽にできる体験があるといいですよね。
出口
そうですね。例えば、軍艦島を見ながら釣りをして自分で釣った魚を食べる体験など、体験型コンテンツの充実に取り組んでいます。
そうやって、1泊の予定を2泊、3泊と延ばしてもらったり、時間がなくてもプライベートでまた来たいと思ってもらえるように、長崎でしかできないスペシャルな体験を増やしています。
長崎らしさを感じる特別なおもてなし
出口
周遊という意味では、出島メッセ長崎に限らず、いろんな場所でレセプションが開催できるんです。
歴史的な建物や長崎らしさを感じる場所で、会議やレセプションを開催することで特別感を演出することも「まちMICEプロジェクト」の一つで、まちの活性化につながると考えています。
矢竹
グラバー園や出島、水辺の森公園などでイベントもできるようになっていますし、出島メッセ長崎での会議や大会、イベントといったいわゆるMICEの後に、長崎らしさを感じられる場所でレセプションなどを行うことで長崎を訪れたかたの印象にも残りやすくなるのではないでしょうか。
長崎孔子廟もまさにそうですよね。
小林
はい。長崎孔子廟もこの取組みに参加しています。11月に関係者の協力をいただいて、長崎孔子廟でレセプションを開催してみましたが、課題がいくつもあることに気づきました。例えば、長崎孔子廟では火を使うことができないんですが、その中でどうやって温かい食事を提供するかということ。寒さ対策や光量不足といった課題、オペレーションの改善点なども見つかりました。
お客様にどうやったら喜んでいただけるか、満足していただけるか、今後も改善を重ねていきたいですね。
矢竹
私もグラバー園でのイベントに携わったことがありますが、10年~20年前は文化財で食事をするなんて考えられなかったことです。
今、そういったことができるようになった反面、バリアフリーの問題や火の取り扱い、収容人数など開催場所で条件も異なりますし、お客様にも、どこで何ができるのかを理解してもらうことも大切ですよね。
出口
そうですね。長崎には歴史や文化を感じられる建物や場所がたくさんありますので、レセプションの主催者に要望に応じた会場を選んでいただけるよう、ガイドブックをつくったんですよ。せっかく長崎に来ていただくのだから、いろんな方法でもっと長崎を楽しんでもらおうと考えています。
小林
歴史的な建物や文化施設で特別感を演出する取り組みは、長崎らしさを感じて、楽しんでもらうには本当に有効だと思います。
地域特性のアピールは他の都市との差別化にもなるので、「長崎でイベントをやってみたい」という、開催そのものの誘致にもつながるかもしれませんし、そうやってまちがどんどん賑わっていくといいですね。
矢竹
歴史的な建物でも、通信環境が整えばリアルとオンラインのハイブリッドイベントもできるかもしれません。そうなると、賑わいはもっと広がりそうですね。
小林
昨年、長崎孔子廟では、ある学会のオンライン懇親会を開催したんですよ。コロナ禍で参加者には現地に来ていただくことはできなかったんですが、全国各地の1,000人以上のかたに生中継で変面ショーや二胡演奏を堪能いただき、すごく盛り上がりました。参加されたかたからは、次回はぜひ長崎に行きたいという声があがりました。こんな風に、交流がまた次の交流を生み出すといいですね。
様々な経済効果が期待できる出島メッセ長崎
矢竹
MICEの開催は、交流だけでなく、ビジネスチャンスも広げてくれますよね。
私たちイベント会社だけでなく、学会や大会の開催となれば、プログラムや発表内容の印刷物も必要となってくるでしょうし、司会や警備、参加者へのお弁当やお土産、ケータリングサービスなどの幅広い分野で仕事が生まれます。いま、市内の150ほどの事業者がいろんな仕事を受注しようと、主催者の要望に応じたモノの提供やサービスの向上に取り組んでいるんですよ。
小林
私たちが地域の魅力を磨き、おもてなしの機運を高めることで、きっと地域経済も潤っていくと思います。
世界の人たちを長崎に巻き込んで、交流の輪を長崎市全体へ広げていく、出島メッセ長崎がそのきっかけになると嬉しいですね。
出口
そうですね。
出島メッセ長崎は世界的に有名なヒルトン長崎にも隣接しているので、各界の著名人であれ、VIPであれ、受け入れも万全です。そこに磨かれた地域の魅力が加わるとなると、一層長崎に興味を持ち、訪れてもらいやすくなるのではないかと思います。
そうやって世界各国からたくさんの人に来てもらって、最先端の技術や考え方が長崎に集まるということは、すごいことだと思うんです。かつての出島がそうであったように「長崎には新しいものがある」といった意識は、都市ブランドの向上につながると思いますし、市民のみなさんの長崎愛もより深まるのではないでしょうか。
まさにここ長崎が「現代の出島」として、世界中の人や情報、技術が集う場所になることを期待しています。
取材日/2021年2月22日
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。またソーシャルディスタンスに十分配慮した上で行なっています。