いっしょに描く未来図 ミライズム ∞ トーク
Miraism Talk
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〜「長崎市新庁舎」〜
人がつながり
暮らしを支える市役所へ!
この方にお話をうかがいました!
田中志乃羽さん
長崎純心大学3年生。長崎さるくやまちづくりの催しに参加し、長崎のまちを盛り上げようと取り組んでいる。自身は、特に長崎の文化や芸術に興味があり、気軽に文化、芸術に触れられる環境を目指し、移動図書館等を企画している。
増田和美さん
長崎出身で1993年~12年間ほど子育て時代を神奈川県で過ごす。現在、桜町保育園子育て支援室にて活動。長崎市子育て支援ネットワーク所属。神奈川県での子育て経験や、現在の長崎で子育てを頑張る親の目線で利用しやすい新庁舎の魅力づくりを考えている。
馬場裕子さん
市役所に入庁して17年目。新市庁舎建設事業の担当となり2年目。以前は、公共施設の再編を担当していた。施設の統廃合や複合化などを進める部署から、施設を建設する部署への異動により新たな気持ちで事業に取り組んでいる。
市民の皆さんが利用しやすい新庁舎へ
馬場
長崎市新庁舎は2023年1月に開庁予定です。これまで20年以上の歳月をかけて検討を行ってきた成果がようやく実現しようとしています。市民の皆さんに分かりやすく、使いやすい施設になるように、これまでもシンポジウムを開催したり、学生向けのワークショップを行ったり、皆さんの声を多く取り入れようと取り組んでいるところです。
増田
現庁舎はどこか暗いイメージがあって、待合スペースも狭く、気軽に行きづらい感じがするんですよね。市民が利用しやすくするために、イメージを良くしてほしいです。
馬場
新庁舎は19階建てになって、床面積は現庁舎の約1.5倍になりますが、その多くは市民の皆さんが快適に手続きや相談が行える窓口や、バリアフリーに対応したトイレ、通路などの部分を増やすことに使っています。
現庁舎の暗いイメージも例えば壁紙の色一つでも印象が変わってくると思うので、新庁舎では細かいところにも気を配って、訪れやすく心地良く過ごせる場所にしたいと考えています。
増田
子育て世代のお母さんたちからは、本館と別館が離れている現庁舎では、手続で行き来するだけで大変と聞きます。
馬場
確かに、現在本館と別館、それに商工会館などいくつも庁舎が別れていて、分かりづらく移動も不便ですよね。特に雨の日とかは、小さなお子様連れのかたなどは大変だと思います。
その点、新庁舎は、現在の本館・別館のほか7つに分散している庁舎を集約しますので、一つの場所で用事を済ませることができるようになります。
19階の建物ですが、特に市民の皆さんが多く訪れる窓口は1階から4階にまとめて配置するので移動が最小限になりますし、さらに、これらの階には現庁舎にないエスカレーターを設置しますので、移動がスムーズにできるようになり利用しやすくなると思います。
田中
窓口の手続きってどうなりますか?利用しやすくなりますか?
馬場
窓口での手続きもスムーズになるよう、市民のかたの移動は最小限に、必要に応じて職員が出向いて対応します。お時間が必要なご相談内容は相談室を利用することで、プライバシーにも配慮された落ち着いた空間で相談ができるようになります。
また、窓口自体もこれまでより広くなるので、ゆとりを持って手続きができますよ。
増田
子育て中のかたも、ベビーカーを脇に置いて手続きができるようになるので利用しやすくなりそうですね。
馬場
待合スペースも窓口も、ゆとりのある快適なスペースに生まれ変わりますが、開放的な空間であっても窓口はプライバシーに配慮するなど、これからの時代にマッチしたつくりを心がけています。
それは安全面に関しても言えることで、新庁舎は免震構造なので大きな地震にも耐えられるつくりなんですね。災害が発生した時、新庁舎周辺の帰宅困難者のかたなどの一時的な避難場所として新庁舎を活用することも想定しています。
日常は、人々が気軽に集える場所。有事の際は、市民の皆さんを守り、暮らしを支えることができる場所。どんな時でも皆さんのそばにあり、市民の皆さんに寄り添う市役所を目指しています。
田中
でも、若い人って特に市役所にはあまり行かないんじゃないでしょうか。私の周りにも、市役所にはあまり行かないという人はいますし。
増田
私もそうですね。保育園の仕事で幼児課には行っていますが、それ以外ではあまり行きません。
私が、現庁舎に行きづらいと感じるのは、神奈川に住んでいた時の市役所のイメージがあるからかもしれません。
その市役所には、周りに公園などの人が集まれるスペースがあって、その中に市役所があるイメージで、市民のかたが自然と集まっていたんですね。
田中
確かに、現庁舎ってふらっと立ち寄る場所ではないですよね。そもそも、長崎にはそんな気軽に利用できる場所が少ないように感じます。
私は、さるくガイドの資格を取得したんですが、もっと勉強したいですし、まち歩きでの気づきを友だちと一緒にまとめたり次の企画を立てる際の作業ができるスペースがまちなかにあれば助かります。新庁舎がそんな場所になれば嬉しいですし、たくさんの人が利用しやすくなると思います。
馬場
新庁舎はたくさんの市民の皆さんが気軽に利用できることはもちろんですが、自然と人が集まる場所にもなってほしいと思っていて、そのための取り組みも進めているんですよ。
例えば、新たに設ける多目的スペースは、市民の皆さんと行政との協働や、市民の皆さん同士の交流の場として利用できます。田中さんが取り組まれていることの勉強会や発表会なども開催できるかもしれませんね。
また、新庁舎はできるだけ市民の皆さんに開放するようにしていて、待合スペースにソファを置いたり、土日祝日も立ち寄っていただけるようなしくみも考えています。
庁舎を取り囲むように歩道や植栽を整備して緑の空間を演出しますので、お散歩を楽しむのもいいかもしれませんね。
増田
園児たちのお散歩コースにもいいですね。
子育て目線で見る長崎市新庁舎
増田
ただ、お出かけする際に、特に子ども連れだと気になるのがトイレなんですよね。トイレが狭かったり、薄暗かったりするトイレは嫌がりますよね。
馬場
私も、子どもを持つ母親なのでわかります。
子どもをトイレに連れて行くのって結構大変ですよね。現庁舎のトイレは閉めると扉が目の前にくるほど狭くて、使い勝手がいいとは言えません。なので、新庁舎は女性用、男性用どちらのトイレにもベビーチェアをつけたり、子ども連れでも利用しやすい環境にしたいと思っています。
増田
もう一つ子育て目線で言うと、赤ちゃんが安心して遊べるコーナーや少し大きい子どもたち用のキッズスペースもあると助かりますよね。「子どもを一人で遊ばせるのが怖い」という声もあるんですが。
馬場
キッズスペースは1階と2階に1つずつ作る予定です。まだ検討中ですが、年齢で利用できるスペースを分けたり、スペースの中に仕切りを設けたりしたいと考えています。
子どもの見守りについても、例えばキッズスペースの周りにテーブルなどを置き、必要な時は職員がその場所へ出向くことで、保護者のかたが子どもを見守りながら手続きができるといった工夫も考えられるかもしれません。
また、新庁舎の1階から4階の、特に市民の皆さんが多く訪れるフロアは、ゆとりを持った空間にしたいと話をしましたが、通路も広くとっていますのでベビーカーも余裕をもって通れるようになりますよ。
陸、海、まちの玄関口を結ぶ賑わいの拠点
馬場
このように市民の皆さんに気軽に立ち寄っていただくことはもちろんですが、新庁舎は賑わいを生む場所としても期待してほしいんです。
庁舎前広場は、待ち合わせ場所やまち歩きの休憩スポットとして利用する他に、マルシェやミニコンサートなどのイベントも開催できるんですよ。
田中
それはすごく楽しそうですね。私は音楽が好きなので、まちの中に演奏が溶け込む雰囲気って、文化・芸術のまちみたいで憧れます。
ブリックホールでコンサートを聴くのもいいんですが、音楽を聴きに行くのではなくて、まちなかで音楽に触れる感覚が素敵です。
馬場
文化・芸術の点で言えば、19階の展望フロアにはギャラリーウォールがあって、市民の皆さんの作品を展示できるスペースになる予定です。個人単位でも展示のお申し込みができるようにしたいと考えています。
田中
作品を発表する場があるのは、創作のモチベーションにもなりますよね。
馬場
実は、私が一番オススメしたいのが、この展望フロアからの風景なんです。長崎には、稲佐山などまちを一望するスポットはいくつかありますが、まちなかから見晴らす場所ってなかったですよね。きっと今までとは違った風景が見られると期待しています。
展望フロアは、屋内の展望ホールと屋外の芝生スペースからなっているので、天気のいい日には外で、雨の日や日差しを避けたい日には室内でなど、思い思いの過ごし方ができると思います。
田中
私は、本を身近に感じられるように、移動図書館を企画しているんですが、新庁舎ができたら展望フロアでやってみるのもいいですね。太陽を読書灯にして、暑くなったら屋内へ行けるような動線があると助かります。
馬場
そのように市民の皆さんのさまざまな活動に活用していただいて、賑わいを生み出していきたいんです。
そして、ここで生まれた賑わいを、陸の玄関口である長崎駅周辺、海の玄関口である水辺の地区、長崎の中心であるまちなか地区の3つの拠点と連携させて、まち全体に賑わいを創出することを目指しています。
新庁舎は、それら3つの拠点とつながる場所に建設されますので、ここが一つの地区から別の地区へ移動する際に立ち寄れるスポットであったり、ここを拠点に他の地区を回遊したりと、連携しやすくなると思うんです。
田中
道路を挟んで目の前には市民会館もありますよね。そこも勉強するにはすごくいいスペースだと思っていて、中学生の頃にはよく利用していました。今はあまり利用していませんが、新庁舎から市民会館へも誘導する何かがあれば、利用頻度も上がりそうですね。
増田
こうやって話を聞いていくと、新庁舎には工夫がたくさんありますよね。明るい感じで安心、快適、楽しそうと、今までとは違うイメージで、早くできないかなと期待します。
馬場
市民の皆さんが利用しやすく、自然と人が集まり、人と人とがつながり合う場所。ここから賑わいが生まれ、他の賑わい同士を結びつけ、まちなかの賑わいに貢献する場所。人の安心、安全な暮らしを支える場所。そんな新庁舎を目指して、これからも一生懸命取り組んでいきます。
取材日/2021年2月15日
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。またソーシャルディスタンスに十分配慮した上で行なっています。